星野源『働く男』感想|働きたくないすべての人へ

目次

感想

 『働く男』は大きく分けて5章構成。

  1. 「働く男」
  2. 「書く男」
  3. 「歌う男」
  4. 「演じる男」
  5. 「そして、また働く男」

 タイトルはロックバンド・ユニコーンの同名楽曲から。
 さまざまな顔を持つ著者・星野源が、「働く男」だった時代について語った文庫本となっています。

「働く男」と「働かない男」

 今は「働く男」ではないみたいです。
 「はじめに」の書き出しはこんなふうです。

 

働きたくない。どこか南の島で少し辛い料理を食べながら、少し苦いドリンクを飲み、ココナッツオイルの甘い匂いがする海岸で横になり、ビーチパラソルの下で、心地よい風の中、何も考えないで1日を終えたい。
(3頁)

 

 (タイトルを見まちがえたかな?)と表紙を確認してしまいました。『働く男』で合ってました。
 『働く男』文庫版の元になった単行本のときには「働く男」であったのに、くも膜下出血で倒れ、その後復活してからは「働きたくない男」になった……「まえがき」にはそう書かれています。

 

 びっくりした。
 もしこれが通じるならば、『ノックの音が』という作品を出版したとして、作中にドアすら出さない文章でも許されることになる。……許されるかもしれない。

 

星野源に学ぶ!(映画)感想文のお手本

 『働く男』の中の「書く男」に収録された文章が、たいへん参考になります。
 私はしばしば読書感想文を書くのですが(読書感想文の本棚)、毎回(どうしたもんかな~)と書き方に悩んでいます。
 星野源の映画の感想文は、とても味わい深く、(自分もこんな文章を書きたいな)と思いました。

 

 以下に私が学んだことをまとめます。
 (何のこっちゃ?)と思われるかもしれませんが、まあそこは推測してみてください。

 

共感を呼ぶような書き出し

髪の毛くるくるしてる、昔のイギリス人の映画ってあるでしょ?
(68頁「変えられることと変えられないこと|『アメイジング・グレイス』」)

 

まあどうでもいいっちゃいいことだけど、テレビの音楽番組を観てていつも疑問に思うのは、「次のアーティストはこの方!」という言葉だ。
(84頁「アーティストって何?|『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』」)

 

長生きしたい。もう一度言おう。長生きしたああい!
(104頁「君は君の死を笑えるか。|『50/50 フィフティ・フィフティ』」)

 

文章は全体の半分まで、関係ないことを書いてもよい

 

あらすじはそこまで詳しく書かないで、一場面だけを取り上げて書く

 

おわりに

 星野源『働く男』は、ゆるい感じの文庫本です。
 文末に又吉直樹との対談も収録されていますし、気になったらおすすめです。
 雑誌感覚で気軽に読める、よい本だと思いました(そんな文章を書きたい)。

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