目次
『鹿の王』あらすじ
東乎瑠(ツオル)に征服されたアカファの地。
捕虜になり、鉱山でヴァンは過酷な労働をさせられている。
そこで突如不治の伝染病・黒狼熱(ミッツアル)が発生した。
原因は、鉱山に入り込んだ一匹の犬だった。
噛まれたにも関らず生き残ったヴァンは、同じく生き残っていた幼い女の子を連れ、そこから脱出する。
一方、天才医術師ホッサルは鉱山での大量死の謎を追う。
逃亡奴隷と研究者。
二人の運命は、病を軸に絡み合っていく。
過去に一国を滅ぼしたほどの病はどこからやってきたのか。
噛まれても死なない人は、何が違うのか。
犬に噛まれたヴァンの身体にもある変化が……
2015年本屋大賞受賞『鹿の王』
2015年本屋大賞受賞作は『鹿の王』上橋菜穂子(KADOKAWA 角川書店)に決まりました。 #本屋大賞
— 本屋大賞 (@hontai) 2015, 4月 7
『鹿の王』感想
『鹿の王』は上橋菜穂子のお得意の本格的なファンタジー小説である。
ファンタジーでありながらどこか現実的で、実際の出来事に基づいたものかと思うような出来である。
また、ファンタジーに医学要素を混ぜ込むという、新しい試みを行っている。
さらにそこに外交、領土争い、移民、文化、歴史……などなど。色々な要素が詰め込まれていて、でもそれでも一気に読めてしまうような読みやすさ。
めまぐるしく変化し進んでゆく物語。
読書に夢中になってしまい、ページをめくる手が止まらなくなってしまうこともしばしばだった。
読み終えたとき、満足とともに少しさみしい気持ちにもなった。
壮大な物語を読み終えたときはそうなることがある。
『鹿の王』はすばらしい読書の時間を与えてくれたと思う。
スポンサードリンク
広告
「鹿の王」とは?
タイトルとなっている「鹿の王」は
- 群れの危機に、自分の命を張って群れを逃がすような者のこと
- (本当の意味で)群れの存続を支える、尊まれるべき者のこと
- 主人公・ヴァンはその運命を背負わされた男である
『鹿の王』名言
「生き物はみな、病の種を身に潜ませて生きている。
身に抱いているそいつに負けなければ生きていられるが、
負ければ死ぬ。
ほかのすべてと同じこと」
「神というのは、便利な理屈だ」
「病に命を奪われることを諦めて良いのは、
諦めて受け入れるほかに為すすべのない者だけだ。
他者の命が奪われることを見過ごして良いのは、
たすけるすべをもたぬ者だけだ」