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羽田圭介について
羽田圭介は1985年生まれの日本の小説家。
2015年に第153回芥川賞を『スクラップ・アンド・ビルド』で受賞しました。又吉直樹『火花』と同時に受賞し、話題になりました。
聖飢魔IIのファンであることを公言しており、芥川賞受賞の電話を受けたのは、カラオケボックスで悪魔メイクをして楽しんでいる最中だったという話です。
以前にも何度か芥川賞の候補に挙がっており、純文学期待の若手作家でありました。
さて、今回は私が選んだ10冊をランキング形式でご紹介します。
羽田圭介の小説を読んだことのない初心者も熱心なファンも、参考にしていただけると幸いです。
羽田圭介おすすめ小説ランキング
第10位『隠し事』
彼女が浮気をしているかもしてない。疑惑は消えず、男は彼女の携帯電話に手を伸ばす。
不安や疑念がさらなる負の連鎖を引き起こす。果たして二人の関係は?
ほんとうに「隠し事」にしておきたいことは、脳みそだけに留めておき、墓まで持って行くのが良さそう……。
第9位『盗まれた顔』
主人公は「見当たり捜査員」。「この顔にピンときたら110番」の顔を捜す仕事をしている。
大都会の雑踏に立ち、ひとりひとりの顔を確認するその作業は、さながら砂漠に落ちたピアスを見つけるようなもの。
刑事の葛藤や苦労、困難を描く本作は、本格警察小説といっても過言ではない。
また、作家・西加奈子による解説も必見。
第8位『御不浄バトル』
「御不浄」とは、簡潔に言うと「おトイレ」のこと。トイレの個室内で繰り広げられるバトル!!
人間の汚いところ(直喩)が詳しく描写されている。
食べて出す。それが生物の基本である。
周囲のストレスから遮断されたうえで、それらを行うことができる場所は、「御不浄」以外にはほとんどない。
第7位『「ワタクシハ」』
高校生でメジャーデビューを果たすも、軌道に乗れず解散。バンドマンは大学三年になり、就職活動を始める。
慌しい周囲の状況に違和感を覚えつつも、彼は就職活動を通して人間的に成長する。
何かになるということは、何かになる可能性を捨て去ることだ――。
「就活」を観察・描写した羽田圭介のおすすめ文庫本。
第6位『不思議の国の男子』
男子高校生は、いったい何を考えているのか?という問いの答えたりうる小説。下ネタ満載。
(ここまで突っ込んだ話をするのか?)というような会話と、刺激的な行動。表紙のポウウさに惑わされてはいけません。
「男子」だった人は思い当たる節があるかもしれない。そうでない方は苦手かも。
ちなみに文庫化するときに改題されています。元のタイトルは『不思議の国のペニス』です。内容は変わっていないみたいです。
第5位『走ル』
ただ、走りたい。目標も目的も無く、ひたすら自転車をこいで北上する少年。
よくある「自分探し」とはちょっと違う。現地で真新しい経験がしたいわけではないのだ。
実際、彼がコミュニケーションするのは彼女や同級生。携帯電話を持参しているからこうなる。
走ることの爽快感や、若さの発露を存分に感じられる羽田圭介のおすすめ青春小説。
第4位『黒冷水』
羽田圭介が17歳のときに書いた処女作。二人兄弟が主な登場人物。
兄の桃色書物を隠れて読む弟と、それに気づいた兄。もちろん兄弟ゲンカに発展、エスカレートしていく。
ちなみに読みは「こくれいすい」です。「くろひやみず」ではない。
第3位『ミート・ザ・ビート』
地方の予備校生が、軽自動車を手に入れた。それならば、走るしかない。車を手に入れたら、エンジンを動かさねばならない。
本作品は、「ビート」という車を出会った若者の日常を描く小説である。
疾走感とほのぼの感が同居する読み応え。
(ちょっと羽田圭介に手を出してみようかな)という軽い気持ちで手に取れる本。
第2位『メタモルフォシス』
昼間は証券会社に勤めるサラリーマン、夜は「お店」で「女王様」にひざまずく「奴隷」という「変態」。
倒錯した世界観でにおいてよりハードな「プレイ」を求める。彼らをその先で待つ「変態」とは?
本人が「名刺代わりにしたい」絶賛する羽田圭介のおすすめ変態小説。
【関連リンク】「【800字書評】羽田圭介『メタモルフォシス』|変態は変態により変態する」
第1位『スクラップ・アンド・ビルド』
要介護老人を抱えた家庭の物語。
青年は筋トレで己の肉体を破壊・強化するとともに、祖父の身体を介護を通して破壊しようと企む。
第153回芥川賞を受賞した、現代の介護問題を鋭く風刺した羽田圭介のおすすめ小説。
【関連リンク】「【800字書評】羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』|何を壊し何を創造したか」
おわりに
今回ランキングに掲載できなかった羽田圭介作品にも良い小説はあります。
羽田圭介作品を気に入った方はぜひ探してみてください。
その他の「おすすめ小説」はこちらから。
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