東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』感想|未読でございますか?

※引用はすべて小学館の単行本による

目次

あらすじ

 

KKc
プロ野球選手になりたかった執事とお嬢様刑事が、6つの事件を推理する!

 

 

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』は独立した6つの短編からなる短編集。
収録作品は以下のとおり。

 

第1話 殺人現場では靴をお脱ぎください
第2話 殺しのワインはいかがでしょう
第3話 綺麗な薔薇には殺意がございます
第4話 花嫁は密室の中でございます
第5話 二股にはお気をつけください
第6話 死者からの伝言をどうぞ

 

 主人公は国立署の新米警部である宝生麗子。
 彼女の実家は世界的企業「宝生グループ」の宝生家。
 それゆえ麗子はお嬢様刑事なのである。

 

 『謎解きはディナーのあとで』で名推理を披露するのは彼女の執事・影山。

 

「本当はプロ野球選手かプロの探偵になりたかったのでございます」
(41頁)

 

 推理をする理由を影山はこう語る。
 また、謎をまったく解くことができない麗子に対して、影山は遠慮なく暴言を吐きます。

 

「クビよ、クビ! 絶対クビ! クビクビッ、クビクビクビクッ、ビクビクビクビクッ」
(27頁)

 

 このようにハイテンションな麗子と、対照的にクールな影山のかけあいも見どころだ。
 本書は、謎解きも会話も楽しめる連作ミステリー短編集である。

 

感想

 

 麗子によって持ち込まれた事件が、基本的に会話で解決していくので、会話が楽しめる方であれば、きっと楽しい読書になると思う。

 

 本作品の見どころはなんといってもお嬢様と執事のかけあいである。
 上にも載せたが、お嬢様のセリフはテンポが軽く、軽妙なおもしろみがある。
 そして執事の鋭い指摘が丁寧な言葉で語られる。

 

 その二つが合わさって『謎解きはディナーのあとで』の愉快な会話劇が生み出されている。

KKc
 ライトノベルのような読みやすさで、一気に読めちゃう 。

 

スポンサードリンク
広告

名言

 

自らの命を絶つ日――これ以上『特別な日』はありませんからな
(59頁)

 

「警部、いったいどこのどいつがそんなふざけた証言をしやがったのですか!」
(153頁)

 

シークレットシューズは永遠に不滅であります。
(200頁)

 

「最強の中華そばでございます」
(254頁)