『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』800字書評

高級フレンチでは?

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林總『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』の800字書評です。

 

 餃子をメインで出す飲食店と、高級なフランス料理店では、どちらが「儲かる」のかというと、私は読んでもよくわかりませんでした。

 

 食材の原価を考えてみた。餃子の材料費は高いとは思えない。店の維持費は多くないにしても、餃子の値段が低く抑えられているから粗利益は少ないと考えられた。
 では、フランスレストランはどうか。フランス製のフォアグラと鹿肉。新鮮な伊勢エビ。どの食材も豪華に違いない。ただ、料理代に占める材料費の割合は餃子ほどではない。見たところ料理の値段は、餃子が材料代の2倍に対し、フランス料理は5倍くらいはするだろう。しかし、餃子屋は店の維持費がかからない。ではどちらが儲かっているのか。由紀の頭の中は混乱してきた。
(林總『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』ダイヤモンド社 2006年 100頁)

 

 ふたつの店は、商売の仕方がまったく異なります。
 餃子屋さんは、薄利多売。材料費は少ないが売り上げも少ない。客数の維持が利益につながっています。
 高級フレンチは「演出」で稼ぎます。日常とは違う雰囲気を作り上げることにより、高い料金で料理というか、空間というか、時間を提供しています。

 

 この違いは、フランス人と中国人の歴史の違いかもしれないと、由紀は思った。蒲田の餃子屋のオーナーは、不況になったときにどれだけ損を少なくするかを考える。銀座のフランスレストランのオーナーは、不況といえども圧倒的な差別化により、顧客を絶え間なく惹きつけようとしているに違いない。
(林總『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』ダイヤモンド社 2006年 107頁)

 

 唐突に出てきた著者の歴史観。
 前後の文脈を読んでいないので(いきなりどうなったんだ!?)と思いましたが、これは日本人と日本人の歴史の違いかもしれませんね。
(759字)

 

作品情報

著者:林總(はやし あつむ)

 

おわりに

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お読みいただきありがとうございました。

 

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