『奮闘するたすく』読書感想文|ぜってー死ぬまで生きてる

あらすじ

 小学5年生のタスク君が主人公。
 彼はデイサービスに通うおじいちゃんについていき、夏休みの課題研究のレポートを書くことになってしまう。
 読みやすい文章で介護福祉の現場を小学生の視点から綴る、お仕事小説。

読書感想文(1200字、原稿用紙3枚)

KKc
ぜってー死ぬまで生きてる

 

 主人公の名前・タスクは英語でいうと「仕事」です。

 『奮闘するたすく』というタイトルからわかることは2つです。タスク君ががんばるということと、お仕事小説であるということです。

 主人公・タスク君は小学5年生ですが、どうしてお仕事小説になるかというと、夏休みの自由研究としてデイサービスの仕事をリポートするよう指導を受けるからです。

 表紙に車椅子が描かれているように、メインの舞台は老人福祉施設です。私は車椅子1台がいくらするかもわからないくらい、福祉の仕事に詳しくないため、未知の世界の話を読むことにたいへんワクワクしました。

 インドネシアから来た福祉研修生の「リニさん」という方が登場するのが印象的でした。

 福祉の現場は「人手不足だ」とつねづねニュースで耳にします。猫の手も借りたい状況の中で、海外の方の手を借りるということが小説になるくらい、一般的になっているのだな、と感じました。

 ただ、彼らはあくまで「研修生」なので、いずれは祖国へ帰ってしまいます。だから、一時しのぎとしては有効な手立てでしょうけれど、いつまでもそんなことを続けられる保証はたぶんありません。もっと根本的に人手不足を解消する方法を考えていかなければならないと思いました。

 人は誰でも老います。そして亡くなります。「人間はぜってー死ぬんだよな」というようなことをタスク君も言っています。彼はそれに続けてこうも言います。

 「でもそれまでは生きてるし」

 小学生のうちは、自分がいつか老いること、また死ぬことをなかなかリアルに想像することが難しいのですが、タスク君はおじいちゃんやデイサービスの仕事を通して気づくことができました。

 私はどちらかといえば、人生は奮闘していない方がよいのではないかと考えているので、できるだけ奮闘しないように普段から行動しています。

 奮闘するというのは口で言うのは簡単ですけれど、実際にやるとなると、疲れもたまるし、ミスも多くなるし、周りの協力も得づらいです。

 だからできれば毎日平均的ながんばり度合いになるように日ごろから心がけています。

 でも『奮闘するたすく』を読んで、奮闘するのも悪くないなと思うようになりました。

 タスク君のように、自分の知らない世界を知ることで広い視点でものごとを考えられるようになることは、とてもすばらしいと思います。

 とりあえず、近所にあるデイサービスセンターについて観察することから始めようと思います。できれば、楽しいレクリエーションをしていますように。

(1041字、原稿用紙2枚と19行)

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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