目次
あらすじ
ジョセフ・フリ-ドマンには問題がある。
「注意欠陥障害(ADD:Attention-Deficit Disorder)」。
少年は障害を抱えながらもクロスカントリー(陸上競技)に挑戦する。
友だちやおじいちゃんに助けられながらジョセフは成長し前に進む。
真の「失敗」とは困難に挑戦しないこと。
読書感想文(2000字、原稿用紙5枚)
私はバドミントンをしていますが、足首をひねったことがあります(ギャンブルをしたことはありません)。
そのあとしばらくシップを貼ったり足首サポーターを巻いたりしていたので、周りの人からは「大丈夫?」「なにかあった?」と聞かれました。
そのとき私に降りかかっていたのは「足首をひねった」という目に見える「問題」でしたけれど、『サイド・トラック』の主人公・ジョセフの「問題」は目に見えるものではありません。
「何があったの?」
「あーと、転んだ。それでそのあと、気がそれちゃった、みたいだ」
「気がそれた?」
「そういう問題をかかえてるんだ」
「そう。まあ、みんななにかしら問題はかかえてるよね」
ジョセフはADDと呼ばれる「障害」を持っていて、そのせいでうまく身体を動かせなかったり理解するのに時間がかかったりします。
私は「自分はADDです」と告白してくれるまではその人がADDであることがわからないと思います。ただ単に注意するのが不得意なのかもしれない、とか集中するのがニガテなのかもしれないとか思うだけです。
ADDは私が経験したようにシップ(薬)を貼るとかサポーターで補強するとか、目に見えるもので対処することが難しいです。目に見えない「障害」はそれがわかるまでもむずかしいですが、それに困っている人を助けるのもむずかしい。
でも、『サイド・トラック』に出てくる女の子・ヘザーはそれがむずかしいことではないようにさらっと「まあ、そういう問題もあるよね」とわかったような雰囲気です。
自分が親との関係で「問題」をかかえているからこそ彼女はそういう言葉が言えたのだな、と後になってわかりますが、それにしても「自分がよくわからないこと(ADDとか)」を「そういうことってあるよね」と受け入れてしまうのは大人だなと思いました。
私たちは自分が考えもしなかったことに誰かが悩んでいるとき「そんなことが問題なの?」とつい言ってしまいがちです。
ポケモンを始めるとき主人公の名前をどうしようか、性別は男女どちらで主人公を選ぼうか、最初に選ぶポケモンはどれにしたらいいのか。
私はそういうとき「どれでもいいや」と適当にそのときの気分で選んでしまいがちなのですが、悩んで悩んで悩み続けて、3時間もゲームをスタートさせられなかった友人を知っています。
他人には私が想像もつかないような、問題だと思わないような、そんなことってあるの?と言ってしまいたくなるような問題があります。たぶん、同じように私が問題だと思っているけれども他人にとってはそんなこと?と首をかしげたくなるような問題もいっぱいあるはずです。
人の気持ちは目に見えません。
誰かが考えていること、感じていること、不快に思っていること、困っていることをしぐさや表情や言葉で断片的に読み取ることはできても、完全に理解するのは不可能です。
でも、わからないからといって「わからないままでいいや」と努力を放棄するべきではないと思います。
ヘザーはジョセフの障害を知ったとき「そう」と答えました。
彼女はそのときADDについて十分わかっていなかったと思いますが、そこからさらに考えること、知ろうとすることを怠りませんでした。
ヘザーがいたからジョセフは最後までやり遂げることができた。
彼女のすごいところは(わからなくても)「わかったふり」をして、さらに「わかろうと」がんばり、「わかった後で適切にサポート」ができたことだと思います。
それができたのは想像力と好奇心、誰かを思いやる気持ちがあったからです。
それらを養うためには、現実世界だけではなくフィクションの世界にも積極的に触れていかなければならないと思います。
そんなわけで、勉強も読書感想文も大切ですが、そろそろ書き上げてしまって任天堂スマッシュブラザーズ(スマブラ)にとりかかります。
スマブラで大切なのは「対戦相手がどう動いてくるか?」という想像力、「いろんな人と試合をしたい」という好奇心、「共闘相手のサポートに回る」という誰かを思いやる気持ちです。
スマブラをいっぱいやることで、私もヘザーのように誰かを助けられるような明るい人間になりたいです。
(1725字、原稿用紙5枚)
おわりに
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