『もうひとつの屋久島から』読書感想文|信じるものを貫いた軌跡

あらすじ

「縄文杉」をはじめとして古くから杉が生息している島、屋久島。

日本一雨が降る島はどうして世界自然遺産に登録されたのか?

屋久島の自然と悲しい過去。

いにしへの人の植えけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし。

 

読書感想文(1200字、原稿用紙3枚)

KKc
「信じるものを貫いた軌跡」

 

 「屋久島」と検索すると、グーグルマップを使って屋久島を歩くことができます。

 

 そんなわけで私は屋久島にインターネットを通じてしか行ったことがないのですが、それでも、画面越しからでも、屋久島の自然はいいなあと感じます。

 

 ドラゴンクエストを遊んでいると海の上にぽつんと山しかない島があったりしますけど、あれは屋久島をモデルに設計したのではと考えるくらい、ゲームの世界に出てきそうな山の島です。

 

 山があるから滝があり、また河川もある。動物もいっぱいいる。ジュゴンがいた記録もあるそうです。世界遺産にした理由がなんとなくわかりました。

 

 『もうひとつの屋久島から』によると屋久島の森はむかし日本政府によって切られてしまう運命にあったそうです。その運命に抗うため、わずかな人数で反対運動を始めました。

 

 当たり前ですけど、森を切るには理由がいります。「なんとなく気にくわないから」みたいな理由で国は森をなくしません。

 

 屋久島の杉は、国や町の人たちにとって「食べるため」「生活のため」「お金のため」切る森でした。人間だれでも生きていくためには何かを犠牲にしなければなりませんが、彼らにとってそれが屋久島の森でした。

 

 でも、生きてくためとはいえ、損なってはいけないものもあります。

 

 そう考えた数人の手によって屋久島の自然は守られ、いま私がグーグルマップを使って見ることができているのです。

 

 屋久島は世界遺産として登録されるまでは「切りがいある森の島」が国の人の本音だったと思います。

 

 でも、そうなってほしくない、では、屋久島の自然を守るためにはどうしたらいいか、どうやってみんなを動かすか、考えて考えて考えぬいて行動を起こして言葉を尽くして説得を試みた結果が今の「ほんとうの屋久島」なのだと私は思います。

 

 「切りがいある森の島」から「世界遺産の杉の島」へ。どちらも国の人にとっては有用ですけれども、島のあり方はぜんぜん違います。

 

 私は屋久島杉で作られた家に住むより、自然に何千年何万年も根を張っている屋久杉のことを見たり想像したりするほうが心がすっきりします。

 

 世界遺産となりその自然が守られている屋久島が「ほんとうの屋久島」なら、世界遺産になる直前の屋久島は「もうひとつの屋久島」です。

 

 「もうひとつの屋久島」は自分が信じるものを守り続けようと信念を貫きつづけた人たちの軌跡です。

 

 この先も屋久島の杉がずっと続いていますように。

 

(1006字、原稿用紙2枚と18行)

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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