『星の王子さま』読書感想文と名言|ほんとうに欲しいものは後になってわかる

※引用はすべてサン=テグジュペリ(池澤夏樹訳)『星の王子さま』集英社文庫による

目次

あらすじ

 星の王子さまはバラとケンカをし旅立った。
 アフリカの沙漠で、不時着した飛行機を修理する「ぼく」と出会う。
 ふたりはヒツジや星や、旅やバラについてなど、いろいろな話をする。

 

登場キャラクター

・星の王子さま

 「ぼく」が出会った不思議な少年。人の話をあまり聞かない。
 第一声は「すみません、ヒツジの絵を描いて」。
 夕日が沈むのを見るのが好き。

 

・ぼく

 飛行機のパイロット。
 不時着した沙漠で飛行機を修理していたところ、星の王子さまと出会う。

 

・ボア

 蛇。ゾウなどを丸呑みして食べる。消化に6ヶ月かかる。
 「ぼく」が描いた絵の中では、帽子のような見た目である。

 

・B612

 星の王子さまの住んでいた小惑星。

 

・バラ

 とても美しい。あまり謙虚な性格ではない。
 寒さに弱いと言ってガラスの鉢をかぶせるように要求する。

 

・王様

 命令したり、禁止したりする。
 宇宙すべてを統治しているらしい。

 

・うぬぼれ男

 拍手をするたびに帽子をとってお辞儀をしてくれるので、「王様よりおもしろいな」と王子さまは思った。

 

・酒飲み

 なぜ飲むの?――忘れるため。
 何を忘れるため?――恥ずかしいことを忘れるんだ。
 何が恥ずかしいの?――酒を飲むことが!

 

・ビジネスマン

 とても忙しく星の数を数えている。

 

・街灯の点灯夫

 一日が一分間である星に住んでいる。
 セリフの最後に「おはよう」「こんばんは」をつけたりする。

 

・地理学者

 王子さまの話をノートにとる。
 彼に地球に行くことをおすすめした人物。

 

・キツネ

 王子さまに「おれを飼いならしてくれ!」と2回頼む。

 

・転轍手(てんてつしゅ)

 旅行者や汽車を分けている。

 

・商人

 週に一回飲めば、あとは水を飲まなくてもよくなる薬を売っている。
 53分の時間の節約になるらしい。

 

 空いた時間にかしこくお小遣い稼ぎ!

 

名言

 

大人は誰でも元は子供だった(そのことを覚えている人は少ないのだけれど)
(5頁)

 

大人は大事なことは何も聞かない
(23頁)

 

「ほら、淋しいときほど夕日を見たいって思うものだから」
(35頁)

 

もしも誰かが、何百万もの星の中のたった1つの星に咲く花を愛していたら、その人は星空を見るだけで幸せになれる。自分に向ってこう言える――『ぼくの花がどこかにある……』。
(39頁)

 

ぼくは何もわかっていなかった! 言葉じゃなくて花のふるまいで判断すればよかったのに。
(46頁)

 

「気になるから、そこでぐずぐずしてないで。行くと決めたんでしょ」
(50頁)

 

「なんのために星を所有するの?」
「金持ちになれる」
「なんのために金持ちになるの?」
「もっと星を買える、新しいのが見つかった時に」
(67頁)

 

「わかる必要なんてぜんぜんない。規則は規則さ。おはよう」
(72頁)

 

気の利いたことを言おうとするとちょっと嘘をつくことになる。
(83頁)

 

特別な花を一本持っているから自分は豊かだと信じていたけれど、ぼくが持っていたのは普通の花だった。
(93頁)

 

ものは心で見る。肝心なことは目では見えない
(104頁)

 

「沙漠がきれいなのは」と王子さまは言った、「どこかに井戸を1つ隠しているからだよ」
(111頁)

 

読書感想文(1200字,原稿用紙3枚,60行以内)

KKc
「ほんとうに欲しいものは後になってわかる」

 

 「すみません、ヒツジの絵を描いて」
 「え、なに?」
 「ヒツジの絵を描いて」

 

 これは王子さまの初登場シーンです。「ぼく」はそのとき眠っていたので、王子さまの声に驚きます。「ぼく」は言われるままにヒツジの絵を描きはじめました。

 

 一回目の絵は「病気みたい」とダメだしをされます。
 二回目の絵は「雄ヒツジだよね」と笑われました。角がないヒツジを望んでいるようです。
 三回目の絵は「年寄りじゃないか」と文句を言われます。

 

 ここで「ぼく」はとうとう我慢できなくなって、ヒツジではなく箱の絵だけを描いて王子さまに渡します。
 「これはヒツジの箱。きみのヒツジはこの中にいるよ」

 

 私はこれを読んで、なんて強引なんだ、と思いました。いくら王子さまが少年のような見た目だからといって、こんな子どもだましなセリフを聞いてだまされるはずがない、と思いました。しかし王子さまは「そう! ぼくが欲しいと思っていたのはこんなのだよ!」と大喜び。私はびっくりして、そして次に、なぜ王子さまは箱の絵で喜んだのだろう、と考えました。

 

 王子さまははじめ、ヒツジの絵を欲しがりました。でも、最終的に満足したのは、箱の絵を描いてもらった後です。
 私は、これと似たような経験をしたことを思い出しました。

 

 ティーシャツを買うためにでかけたときのことです。そのとき私が買って帰ってきたのは、スニーカーでした。なぜそういうことになったのかというと、ティーシャツを見て回っている最中に、すばらしいスニーカーを発見してしまったからです。それを見つけた瞬間、「私が欲しかったのはこれだ」とティーシャツを買いに来たことをすっかり忘れて、スニーカーをレジのところへ持っていっていました。私は、王子さまの気持ちもこの状況と同じだと思いました。

 

 たぶん私たちがほんとうに欲しいものは、最初の時点ではわからないのです。だから王子さまもきっと「ヒツジの絵を描いて」と言っていたものの、描きあがったものを次々と「これじゃない」と否定していたのだと思います。

 

 心から望むものは、それに出会うまではそれだとはわからない。それが目の前に示されてはじめて、「あぁ、私はこれが欲しかったんだ」と納得するものだと思います。だから人は、テレビやインターネットで情報を集めたり、街に出かけたり、学校に通ったりするのでしょう。ということで、いつまでも新しいものに対する好奇心を忘れずに生きていこうと思いました。

(60行,原稿用紙3枚ぴったり)

 

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おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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