東野圭吾『探偵ガリレオ』|科学に不思議はない

※引用はすべて文春文庫による

目次

あらすじ

 

突然、燃え上がった若者の頭、

心臓だけ腐った男の死体、

池に浮かんだデスマスク、

幽体離脱した少年……

警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない何事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。

帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。

常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。

(裏表紙)

 

 

『探偵ガリレオ』は5つの短篇からなる短篇集だ。

第一章 燃える もえる 若者の後頭部が突然発火し焼死した
第二章 転写る うつる 行方不明者の顔の型が池に浮かんで発見された
第三章 壊死る くさる 入浴中に心臓麻痺して死んだ男の胸に、壊死したアザがあった
第四章 爆ぜる はぜる 泳いでいた女性から火柱があがり、海水浴場がパニックになった
第五章 離脱る ぬける 事件の目撃情報が、幽体離脱したという少年からもたらされた

 

KKc
 ※以下、ネタバレを含みません。

 

①第一章 燃える 燃える

 

深夜バイク仲間と自動販売機の傍でたむろしていた若者・山下の後頭部から突然炎が上がった。

現場にガソリンが入ったポリタンクが置いてあったことが分かったが、なぜそこにあったかは不明。

刑事・草薙が友人である湯川の物理研究室を訪ね、アドバイスを求める。

湯川は現場に行ってみようと提案する。

 

②第二章 転写る うつる

 

刑事・草薙が姪の中学文化祭に行く。

そこで石膏で作られた顔を見て「夫だ」と騒ぐ女性に出会う。

彼女曰く行方不明の夫に違いないという。

生徒は顔の「型」を近所の池で拾ったと言った。

 

③第三章 壊死る くさる

 

スーパーの経営者が、浴室で心臓麻痺の状態で発見された。

その胸には不自然なアザがあり……

 

④第四章 爆ぜる はぜる

 

海水浴場海水浴場で火柱が上がり女性が死亡した。

警察はテロの疑いもあるとみて捜査を進めているが、爆発物は見つからず。

湯川はある電話で、犯行の手口に気づく。

 

⑤第五章 離脱る ぬける

 

首を絞められた女性の死体。

ベッドで眠る少年 容疑者のものと思われる車が、彼女の家の前に停まっていたとの証言。

その証言は、ある少年が幽体離脱をして目撃したというものだった。

草薙は、湯川に論理的な説明をしてくれと頼み込む。

 

KKc
※章は独立し、順番的にも関連がない。どれから読んでも大丈夫。

 

感想

 

特に「第三章 壊死る くさる」が面白かった。

下の「名言」も3つのうち2つがそこからの抜粋だ。

トリックもさることながら、登場人物が個性的なこともおもしろさの一因。

幕切れも印象的だった。

『探偵ガリレオ』を読む際はここから読むのをおすすめする。

 

名言

 

「いいじゃないか。実に論理的だ。非のうちどころがない」
(32頁)

 

「これを使った殺人は、まだ世界でも例がない、だから絶対に他殺とはわからない」
(169頁)

 

「本当に腐っていたのは」男は呟いた。
「君の心だ」
(199頁)

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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