目次
あらすじ
世界を囲む、大きな赤い壁。
壁の中の動物たちは、壁の外に何があるのか誰も知らない。
「ふしぎだな、きになるな。このかべのむこうになにがあるんだろう?」
ねずみは知りたがった。
「かべはあたしたちを守ってくれるのよ。外にはこわいものがいっぱいあるから」
ねこは恐れた。
「むずかしいことを考えるのはやめろよ。そうすりゃハッピーになれる」
きつねは目をそむけた。
「かべのむこうになんて、なにもない。闇だ。はてしない闇だ」
らいおんは絶望した。
「きみはしりたい? みてみたい?」
空色の鳥はねずみを壁の外へいざなう。
読書感想文(1200字、原稿用紙3枚)
私の身の回りの「壁」は何があるだろうと思って考えてみると、いまこの読書感想文を書いている自分の部屋の壁が目につきました。
部屋の壁は私を寒さや暑さ、風や雨や雪や花粉、あとは選挙カーの出す音などから私を守ってくれています。
壁があるおかげで私はエアコンを使うことができるし、壁があるおかげで私は落ち着いて読書感想文を書いたり勉強したりスプラトゥーンをしたりできます。
『かべのむこうになにがある?』の「ねこ」のように、私の部屋の壁は「あたしたちを守ってくれ」ています。
でも、残念ながら私は部屋の中にずっといるわけにはいきません。
お腹もすくしトイレにも行きたい。お風呂にも入りたいしディズニーランドにも行きたい。
そのためには寒い廊下を歩かなければならなかったり、花粉の舞う中出かけなければならなかったり、選挙カーの大きな音の横を手を振りながら自転車で通り抜けなければならなかったり。
そういうことを考えてしまうと「かべ」の外へ出るのはめんどうだな、と思ってついだらだらしてしまいます。
だけど、ちょっと考えてみれば、外に出れば楽しいことが経験できたり、『かべのむこうになにがある?』の「ねずみ」のように美しい景色を見ることができます。
「ほんとうのものをみるゆうきがあればかべはきえる。ぜんぶきえたあとにはきっとすばらしいせかいがあるはずだよ」
私たちの前に立ちはだかる「かべ」は目に見えるものだけではなく、目に見えないものもたくさんあります。
「ねむいからラジオ体操に行かない」
「宿題がめんどうくさいから後にする」
「バッグをあけるのが手間だからプリントを出さない」
「かべ」は「かべのむこう」の良さを隠し、私たちを「らいおん」のように絶望の世界へ閉じ込めます。
ラジオ体操に行けばシャッキリ起きられるし友だちにも会える。
宿題を早めにやってしまえばその後はパラダイス。
バッグの中を整理してしまえばいろいろ気持ちがすっきりします。
行動すれば大体いいことがあります。
なにごとにも「かべ」を自分から作らずにフットワーク軽くこれから生きていければいいなと思いました。
<かべのほとんどは、ただのまぼろしだ>
「むずかしいこと」を考えずに「かべなんてないさ」の気持ちでハッピーに生きていければ、たぶんそれはそれは、いい人生なんじゃないかと思います。
(977字、原稿用紙2枚と18行)
おわりに
そのほかの「読書感想文」はこちらから。
おまけ
↓絵本を翻訳した風木一人氏による解説(リンク「ホテル暴風雨」)
https://hotel-bfu.com/hotel_dayori/picture-book/2019/01/21/kazeki-79/