※引用はすべて文春文庫による
目次
あらすじ
深夜、16歳の 少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。
とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。
その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。
果たして偶然か、妄想か……。
常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。
(裏表紙)
『予知夢』は前作『探偵ガリレオ』に続き5つの章からなる短篇集だ。
とはいっても前作を読んでいる必要はまったくない。
大まかなあらすじは以下のとおり。
第一章 夢想る ゆめみる | 子どもの頃夢で見た女性に17年後めぐり会い、ストーカーとなる |
第二章 霊視る みえる | 交際中の女性の霊を見て、虫の知らせだと直感する |
第三章 騒霊ぐ さわぐ | ポルターガイスト現象 |
第四章 絞殺る しめる | ホテルで死体となって発見された人物と、火の玉との関係とは |
第五章 予知る しる | 女性が首吊り自殺をする夢を、ある少女が見る |
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感想
すべてのオカルト現象に「ガリレオ」湯川は論理的な説明を試みていく。
彼は次のように語る。
すごい偶然が起きた場合、
それはもしかすると必然だったのではないかと考えてみるのは、
科学の世界では常識なんだ。
(88頁)
湯川は科学者として偶然を偶然ととらえず、オカルトを理解を超えたものととらえない。
そこに科学者としての矜持が感じられる。
また、「第五章 予知る しる」はとても不気味な結末を迎える。
いつものように湯川が真相を暴いて終わり、という話ではない。
読んで絶対に後悔はしないと思う。
名言
「何をしているんだ」
「見ればわかるだろう。綱引きだ」
(22頁)
「終わったようだな」
「うん。いやな仕事だった」
「だからこそ給料をもらえる」
(82頁)
「ある音響機器メーカーで、こんな奇妙なデータが得られた。
ラブホテルに納入されたステレオは、通常よりもずっと早い時期にガリが出るというものだった。
優秀な研究者たちは必死になってその原因を調べた。そしてついに一つの結論に達した」
湯川は人差し指を立てた。
(112頁)
「だとしたら面白い。非常にね」
その言葉とは逆に、物理学者の目は笑っていなかった。
(188頁)
おわりに
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