目次
あらすじ
ウナギが産卵する場所はよくわかっていない。
海で生まれたあと川に住み、ふたたび海に下って卵を産む。
かすかな手がかりをもとにトライアル&エラーを繰り返し、科学者たちは産卵場所の特定に挑む。
読書感想文(2000字,原稿用紙5枚,100行以内)
私はうなぎが大好きです。「今夜のごはん、なにが食べたい?」と訊かれたら必ずといっていいほど「うなぎ!」と答えます。
お店で食べるうな重がいちばん好きですけど、スーパーで売っているうなぎも好きです。そんなに肥えた舌ではないからでしょう。「うなぎだよ」と出された時点でもう気分がよくなってしまって、どんなうなぎもおいしく感じられます。
「土用の丑の日」は毎年必ずうなぎを食べることができるので、大好きな日のうちのうちのひとつです。誕生日と元日の次くらいに好きです。ナンバー3。社会の授業で「土用の丑の日」は江戸時代に平賀源内という人が言い出したと聞きました。彼は歴史上の人物でトップクラスに好きです。ちなみに一番はルターです。
話が脱線してきたので戻します。
私が大好きなうなぎですが、どうやら最近は数が減ってきているようです。日本人が食べすぎたからでしょうか。うなぎを食べる人の70%が日本人だというデータがあります。「うなぎが減っている。このままではいけない」ということで漁業でとる量を少なくしたり、養殖をしたりして対策がとられているそうです。
「うなぎを養殖できるなら問題はないのでは」と私は思いました。
「天然と養殖だったら天然が絶対いいね。養殖ものなんて食べられたものじゃない」と言う人もいるかと思いますが、私はそれほど細かい味が分かる人間ではないので、仮に世界中で食べられるうなぎがすべて養殖で育てられたものになったとしても文句は言いません。もし大量生産ができるようになれば売られるうなぎの値段も下がり、今よりもっとたくさん食べることができてうれしいです。
問題は、養殖技術があまり発達していないことにあるようです。いま主流の養殖方法は、うなぎの子どもを捕まえてきて、それを育てて出荷する方法です。なぜかというと、うなぎに卵を産ませてそれを大きくなるまで育てることは、とてもお金と手間がかかる方法だからだそうです。採算がとれないという。
『うなぎ一億年の謎を追う』では著者が苦労のすえ、うなぎの卵を発見します。うなぎは海で産まれてから川に住み、また海に戻って産卵するということだけは知られていましたが、どこで産卵するのかはずっとわかっていませんでした。でも、この本では太平洋でうなぎの卵を見つけます。それはつまり、うなぎの産卵場所の大きな手がかりでした。
著者はうなぎの産卵場所を特定するために40年もの歳月をかけています。
私はプロ野球が好きなのですが、現役最年長の中日ドラゴンズ・山本昌投手だってプロになってから30年くらいです。登板するたび「そんなに長くプロでいられるなんてすごいなぁ」と思っていたのですが、うなぎ研究の世界ではもっと「プロ」でい続けている人がいました。40年間もうなぎの謎を追い続けることができるなんて、塚本さんはすごい。
でも逆にいうと、40年経っても塚本さんがうなぎの研究をし続けているということは、うなぎ研究はまだまだ残された謎が多いということです。
このまま謎を謎のままにしておくことは、きっと我が家の食卓におけるうなぎ事情に大いにマイナスになります。うなぎが絶滅したあとになって「うなぎっておいしかったけど、結局よくわからなかったね」という未来は絶対に避けなければなりません。私はいやです。死ぬまでうなぎを食べていたいです。
ということで、うなぎ研究がこれから進むように、これから「おすすめの本は?」と訊かれたら『うなぎ一億年の謎を追う』と答えたいと思います。この本を読む人が増えることでうなぎ研究の大切さが広まり、うなぎ研究に携わる人が増え、研究資金が豊富に充てられ、さまざまなプロジェクトが立ち上げられることを祈っています。すべてのうなぎ好きの人々が、ずっとうなぎを食べられますように。
(88行,原稿用紙4枚と8行)
おわりに
過去に書いた「読書感想文」はこちらから。
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