辻村深月『本日は大安なり』800字書評

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大団円で大縁談

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辻村深月『本日は大安なり』の800字書評です。

 

 大安吉日は、万事においてよろしいとされる日。今日では、結婚式などに良い日とされる(広辞苑第五版より)。
 『本日は大安なり』は老舗ホテルの結婚式場で繰り広げられる物語。

 

 新婦はちょっと「ややこしい」女だ。新郎を試すため、そっくりの双子の姉と入れ替わる。
 こういうことをすると、男性諸君は(ややこしい女だ)と思ってしまうだろう。
 でも女性にとってはごく自然な試みなのである。

 

 女性は男性からの気持ちを(見た目だけではないか)と考えたり、(私の中身をもっと見てほしい)と思ったりしている(たぶん)。
 だから、結婚式という「しっかりとした日」(こんな日に「偽者」が自分の隣に並ぶわけがはない、と彼は思っている)に彼の「気持ち」を試してみたいという心情は理解できるものだ。

 

 そんな「試練」を仕掛けられる新郎も新郎で。
 実は彼は既婚者なのだが、それを言い出せぬまま結婚式当日へ(そんなことってありえるのか?)。
 まぁ『本日は大安なり』のタイトルどおり、結末は大団円(ハッピーエンド)なので安心して読むことができる(なにが安心してなんだ)。

 

 そうそう。
 「大団円」は、「大円団」と間違って使われる方がいらっしゃいますけど、なぜでしょう。
 たとえば私のパソコンでは「だいえんだん」と打つと「大縁談」と返してきます。ということは「大円団」と表示させるためには「だい」、「えん」、「だん」とひと文字ずつ入力する必要があると予想されます。手間がかかっていますね(誤字だけど)。
 あ、でも……

 

 『本日は大安なり』に限っていえば、結婚に関する話なので、わざと「大円団」と「縁談」とかけて表記するのもありかもしれない。
 「では、これにて! 大・円・団~!」みたいな。
 ……今のなしで。

(745字)

 

作品情報

著者:辻村深月
情報:2012年にドラマ化

 

おわりに/h2>

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お読みいただきありがとうございました。

 

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