目次
村上主義者は地下に潜り活動すべし
本書の元は、村上春樹の期間限定質問募集ウェブサイト。
投稿された質問に対して、村上春樹が答えていくスタイルのページであった。
イラストはフジモトマサル。村上春樹の文章にぴったり。彼の言葉には、ほのぼのした絵柄がマッチするのかも。そういえば『村上朝日堂』のイラスト(安西水丸)もすばらしく調和していたし。
村上春樹は、自分のファンが「ハルキスト」というのはあんまり気に入らないようです。
代わりに提案されたのは「村上主義者」。私はマルクスが好きなので「マルクス主義者」を連想してしまう。地下に潜んで村上作品を読むのか……。
現時点では「村上」といえば村上龍も有名なので、ちょっと紛らわしいですね。
歴史の淘汰によって、後世では「村上」というとどちらか一方を指すことになるかもしれませんが。今のところ、両者とも残ることになると私は思っています。
さて『村上さんのところ』の内容ですが、真剣な質問やばかばかしい質問、涙をこぼしてしまいそうな質問や、ヤクルトスワローズの質問……などなど。まんべんなくチョイスしたのは編集の方の力か、それとも村上春樹の手腕か。
村上春樹の回答が辛辣なのもあって笑えます。そういうものって、大抵質問も挑戦的なものだったり、あるいは質問に出てくる人物が常軌を逸した行動をとっているかの、いずれかなのですけれど。自業自得です。
ちなみにヤクルトスワローズ(プロ野球チーム)に関する質問が多いのは、彼が大のスワローズファンだからです。確か村上春樹が(あ、小説を書こう)と思い立ったのも、スワローズの試合を観ているときだったと記憶しています。
(688字)
作品情報
著者:村上春樹
情報:電子書籍版は「完全版」。単行本の約8倍の質問が収められている。