マイケル・モーパーゴ『希望の海へ』読書感想文

スポンサーリンク

あらすじ

 父・アーサーはイギリスからオーストラリアに強制移住させられたが、幸せな家庭を築いた。
 娘・アリーは父のヨットに乗り、父の姉に会うためイギリスを目指した。

【読書感想文】原稿用紙5枚(2000字,100行)

KKc
「『希望の海』と『ワンピース』と『進撃の巨人』」

 アリーはヨットで海に出ます。ヨットで海に出るなんて、とても無謀だと思うと同時に、尾田栄一郎『ワンピース』みたいだと思いました。
 『ワンピース』の主人公・ルフィも最初は手でこぐタイプの、頼りない船で冒険を始めています。
 二人には共通点があります。「手段にこだわらないで始める」ことです。

 定期テストが近くなってくると、だいたい2週間前に試験範囲が配られますが、それを見て「よし、いっちょやるか」と思います。
 そして家に帰って何をするかというと、部屋の片付け・机周りの整理。

 「漢検でも取りたいな」と思って出願用紙と問題集を買います。
 そしてまず何をするかというと、その足で文房具コーナーに行き、勉強のためのノートや、気分を盛り上げるための新しいシャーペンを探したりします。

 部屋の片付けをしていては、勉強を始めるのが何時間も遅れてしまいます。最近読んでいなかったマンガを発見して、読みふけってしまうかもしれません。
 ノートやシャーペンを選ぶことは、漢字を覚えることにちっとも関係がありません。家にある適当なボールペンでチラシの裏に書きつけたって漢字練習はできます。

 大事なのはやり始めることです。ほんとうにやらねばならないことに、一刻も早く手をつけることです。私はそれを『希望の海へ』と『ワンピース』の共通点から学びました。

 また諌山創『進撃の巨人』との共通点も見つけました。
 「父からの鍵」です。

 アリーは父・アーサーから鍵を渡されます。それは文字通りの「鍵」です。どこかを開けるための。
 『進撃の巨人』の主人公・エレンも同様に父親から鍵を渡されています。
 この文章を書いている時点で『進撃の巨人』の鍵がどのように作用するのかはまだ明らかになっていませんが、ひとつだけわかっていることがあります。

 鍵は「開ける」ためのものだということです。
 当たり前ですが。

 世の中に存在するほとんどの鍵は、何かを開ける、あるいは解くためのものです。例外はアクセサリーとして鍵の形をしたものですが、アリーの鍵もエレンの鍵も、アクセサリーのための鍵だとは考えにくいです。

 ということは何を意味するかというと、鍵は「冒険心をかきたてるもの」だと私は思います。

 自分が誰かから何かの鍵を渡されたとします。
 そうすると、その鍵を使ってみたい気持ちになります。
 ほとんどの場合、鍵というのはある鍵穴にしかあてはまりません。
 だから鍵を手に入れるということは、その鍵穴に対して自分「だけ」が開ける権利を手に入れたとほぼ同じ意味になります(スペアキーがある場合もありますけど)。
 「やっていいよ」と権利をもらったからには、そしてそれが世界中、宇宙で自分ただひとりに与えられたものであると思えたときに、人はとても幸せになると私は思います。その権利を行使するためには、あらゆる努力を惜しまないものだと、私は思います。

 『希望の海へ』の原題は”Alone on a wide wide sea”です。
 これは主人公・アリーが「父からもらった鍵を使うために」持てる力を総動員して航海していることを表したタイトルだと思います。

 アリーはアーサーから鍵を渡されなくても、ヨットを出したかもしれません。
 エレンは父親から鍵を渡されなくても、巨人と戦うことを選んだでしょう。
 それでも鍵は二つの物語で大きなポジションを占めていると思いました。それはひとえに鍵の「冒険心を起こさせる作用」があるからです。

 先ほどは否定しましたが、部屋を片付けたり新しい筆記用具を探したりすることも、あながち悪いことではないのかもしれません。
 鍵がどこから現われるのか、たぶん自分にはわからないでしょうから。

(95行,原稿用紙4枚と15行)

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

過去に書いた「読書感想文」はこちらから。

記事に対する感想・要望等ありましたら、コメント欄かTwitterまで。

スポンサーリンク