ケン・リュウ『紙の動物園』感想|これぞアジアSF

目次

あらすじ

 アジアの雰囲気を感じられるファンタジー。
 短編集。一話一話の趣向が違う。全15編。
 母親との関係を描く表題作「紙の動物園」は、家族の切々たる情愛を描く。
 <ぼくの一番最初の記憶は、ぐずぐず泣いているところからはじまる。>

感想

 ケンとリュウって……ストリートファイターか。
 というふざけた感想は置いといて。収録作品と短い感想です(特にコメントしていないものもありますけど、ご愛嬌)。

 

 「紙の動物園」は、折り紙で動物を作ってくれる母と「ぼく」との愛情のかたち。オビ=ワン・ケノービも登場。
 「もののあはれ」は日本人が主人公のSF。<この世界は漢字の「傘」の字に似た形をしている。>という書き出しが印象的。

 

 「月へ」。
 「結縄」(けつじょう)は製薬小説。
 「太平洋横断海底トンネル小史」は、そのタイトルどおり、日本とアメリカを結ぶトンネルについての歴史のIFを扱った短編だ。
 「潮汐」(ちょうせき)。恥ずかしながら、読めずに辞書を引いた。読めないのに引ける漢和辞典という発明の偉大さにおののいた。

 

 「センバツ宇宙種族の本づくり習性」は、個人的にいちばんよい題名。語呂がいいので、何度も声に出したくなる。センバツ宇宙種族の本づくり習性、センバツ宇宙種族の本づくり習性、センバツ宇宙種族の本づくり習性……

 

 「心智五行」。
 「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」は、個人的に2番目によい題名。
 「円弧」(アーク)のテーマは「不老不死」。興味のある方も多いのでは。
 「波」。
 「1ビットのエラー」。
 「愛のアルゴリズム」。人工知能と「本物の」心の違いとは?
 「文字占い師」。
 「良い狩りを」は、一種の妖怪ファンタジー。ちょっぴりかなしくなる。

 

 ハヤカワの本だけあって、よいSF小説だった(昇竜拳も波動拳も竜巻旋風脚も打たなかった)。

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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