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あらすじ
土方歳三は「最強の集団」新撰組を創り上げるべく、その熱血を注ぐ。
時代は幕末、激動の時代。
組織を構築していくこと、「漢」として生き抜くこと。
『竜馬がゆく』と並ぶ司馬遼太郎の代表作。
【読書感想文】原稿用紙3枚(1200字,60行)
燃えよ剣、と聞いて(剣が燃えるの?)と思いました。剣が燃えるはずがない。少なくとも私の知っている、あの、武士が腰に帯びているような日本刀は、発火するほど引火性が強くありません。
燃えよ剣、というのはもちろん比喩であって、キャンプファイヤーのように剣を囲んで周りを躍るイベントの始まりを告げる声というのではありません。某松岡さんのように、熱血心を持って剣を振るう、剣で闘う、という意味あいの言葉であると私は思いました。
司馬遼太郎『燃えよ剣』は新撰組を中心にすえた物語です。時代は幕末。おそらく日本史でいちばん最後の「剣がものをいう」時代でした。明治以後は廃刀令や剣道のスポーツ化で、それまでとは剣の存在が変わってしまったと私は思っています。
タイトルにもあるように、新撰組は「燃える」剣によって日本最強の集団であることを目指します。主人公は土方歳三で、近藤勇や沖田総司も出てきます。私は空知英秋のマンガ『銀魂』を読んだことがあるので、彼らの顔や雰囲気をなんとなく『銀魂』と重ねながら読みました。新撰組のメンバーが行動している情景や彼らの声や立ちふるまいが想像しやすく、『銀魂』を読んでいてよかったなと思いました。小説を読む前にマンガで予習(のようなこと)をしていると、豊かな読書時間を過ごせることがわかりました。そういえば歴史や古文も教科書よりまずはマンガで入ると理解が早い、という話を聞いたことがあります。腑に落ちました。
燃えよ剣、は語呂がよく、「声に出して読みたい日本語」だと思います。私はバドミントンをするのですが、それに当てはめると「燃えよラケット」とか「燃えよシャトル」とか「燃えよ羽球」となり非常にかっこわるい。これが文芸部だったら「燃えよペン」になってかっこいいのですが(ちなみに私は島本和彦のマンガ『燃えよペン』が大好きです)。ボクシングとか少林寺拳法だったら「燃えよ拳」になって、これもまたかっこいいです。
「燃えよ剣」を英語で言うとどうなるかも考えましたが、思いつきませんでした。軽く調べたところ、どうやら英訳出版されていないようです。日本ではベストセラーの本書ですが、海外ではあまり売れないと考えられているのでしょうか。確かに土方が詠んだような俳句は、外国の方にとって理解が難しいかもしれません。司馬遼太郎がノーベル賞に選ばれなかったことも納得です。
(55行,原稿用紙2枚と15行)
おわりに
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