目次
あらすじ
1942年、アメリカのワシントン州、ベインブリッジ島。
日系アメリカ人のマナミが主人公。
彼女の平和な日々は、戦争によってがらりと変わった。
愛犬との別れ、強制的に家から退去、マンザナ収容所へ送られる。
ショックで声を失ったマナミ。
でも、そこから立ち上がり「何かを守れる存在」になる。
強い気持ち、強い愛。
これは少女が現実に立ち向かう強さを得る物語。
読書感想文(1200字、原稿用紙3枚)
『マンザナの風にのせて』はアメリカのカリフォルニア州が舞台です。
時代は日本でいえば昭和時代の戦争のころ。日本がアメリカのハワイに攻撃を仕掛けた後のあたりです。
マンザナは戦争中にアメリカに住んでいる日系人が収容されたところです。
1941年12月、アメリカの真珠湾が日本に攻撃され、翌年1942年2月にある「大統領令」が出されました。
その「大統領令」によってアメリカ西海岸に住んでいて「敵(である外国)に祖先をもつ者」は住んでいるところから強制的に出ていかされました。マナミが受けた扱いはこの大統領令のせいです。「日本はアメリカを攻めるとき現地の日系人に協力させるつもりらしい」という情報がその理由とされています。
外国出身ということだけで危険な人物扱いされて、疑いがあるというだけで生活が大きく変えられました。こういうことが「しょうがない」と受け入れられるのが戦争なのです。
「強制収容所」というとヨーロッパにあるアウシュビッツが有名ですが、(考えてみれば当然ですが)アメリカにも、そして世界各国にそのような施設が数多くあるのだと改めて感じました。
アメリカは戦争が終わったあと長い時間をかけて謝罪をし、被害者にお金を払っています。「あれは人種の偏見だった」「戦争中という異常な状態における異常な判断だった」「まちがった政治のやり方だった」と反省しています。
『マンザナの風にのせて』のマナミは愛犬・トモと別れるさい、ショックのあまり口がきけなくなっています。
私は犬を飼っていませんけど、家族と別れるつらさは想像することができます。たぶん私も同じように無理やり引き離されれば、言葉を出せなくなるくらい気持ちがふさがると思います。
でも、ずっと住んでいたところから「出ていけ」と言われる悲しさは想像するのが難しい。
自分は生まれも育ちもアメリカ人だと思っていたのに、国からはそう思われていない。それが戦争中の「当たり前」でした。
もし日本で戦争が起こったとき、日本に住んでいる海外に先祖を持つ人たちが同じような経験をする可能性はゼロではないと思います。残念ながら。
でも、私たちがなぜ学校で歴史を学ぶのか、なぜ本を読むのか、なぜ戦争中のできごとを書き残すのか、を考えると、その理由はありきたりですけど、同じあやまちを繰り返さないためだと私は思います。
あやまちを繰り返すのは動物でもできる。でもあやまちを反省して、「どちらかといえばまし」を選ぶことのできるのはたぶん人間だけです。
(1043字、原稿用紙2枚と18行)
おわりに
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