『ブロード街の12日間』読書感想文|仮説を立てて問題にいどむ

あらすじ

 舞台は「青い恐怖」に襲われた1854年のロンドン・ブロード街。
 「青い恐怖」とはコレラという伝染病のことである。
 少年・イールはスノウ博士の助手として、コレラの感染を防ごうと奮闘する。
 実際の人物や事件をモデルとした小説である。

 

【読書感想文】原稿用紙5枚(2000字,100行)

KKc
「仮説を立てて問題にいどむ」

 

 シャーロック・ホームズを読んだことがあります。確かその舞台は19世紀末だったと覚えています。『ブロード街の12日間』はそれより前、1854年のロンドンを描いた話です。

 

 1854年といえば社会の授業で習ったように、日本にペリーが来たあたりの時代です。今から150年くらい前。だいぶ昔のことです。船は蒸気ではなく原子力で動くようになったし、日本刀は腰に下げるものから博物館で観るものになりました。

 

 しかし時代が変わっても、感染症はまだ怖いままです。『ブロード街の12日間』では「青い恐怖」と呼ばれた病気・コレラの流行を扱っています。

 

 なぜ「青い恐怖」とコレラが呼ばれるのかというと、感染したさいに身体が青黒く変色するからだそうです。コレラにかかるとどんどん水分が身体の外に排出されます。それはコレラが小腸で悪さをして、身体の中に水分が入らないようにするためです。それでどうして身体が青黒くなるのか、私の知識ではちょっとわからないのですが、いずれにせよこの病気はとても怖いなと思いました。「青い恐怖」と呼ばれたのもよくわかります。

 

 ロンドンの人々ははじめ、コレラは空気を通して感染すると考えていました。
 しかしスノウ博士とイールは違う見方をします。ふたりはロンドンの井戸水がコレラ流行の原因だと推測します。当時のロンドンの下水道状況はたぶん今よりずっと低いレベルの環境だったと思います。私はロンドンに行ったことはありませんが、さすがにもう感染症の広がる原因になるような汚さではないと思います。

 

 あらためて考えてみると、私の住む日本の下水道の状況はすごいな、と思います。何かの病気が流行っているときも「水道水はあぶないから近寄ってはいけない」とは思いません。せいぜい外に出るときにはマスクをして、帰ってきたらうがいと手洗いをしなければならない、という程度の注意です。あとは予防接種くらい。

 

 それはインフルエンザなど、日本で流行する可能性のある感染症が、主に空気でしか感染しないからだと私は思います。そしてそれは、たまたま空気を通して感染が広がる病気だけが日本に上陸しているということではなくて、日本の下水道の処理施設が万全の設備で、とてもよい仕事をしているからだと思いました。日本の下水を清潔に保っている人たちへの感謝を忘れずに生きようと思いました。

 

 話は変わるのですが、私は夏休み、イールやスノウ博士と同じように仮説を立てて、問題を解決したことがあります。

 

 夏休みは遊ぶためにあると私は思っていますが、残念ながら、学校から課題が出されます。それは避けて通ることができません。
 「気が向いたらやろう」では絶対に私はやりません。夏休み最終日になって「どうしてこんなことになったんだ」といらいらしながら手を動かすことになるのが定番です。だからある夏休みに私は、毎日時間を決めてやろうと思い立ちました。

 

 はじめは昼食の後にやろうと思いました。しかしはかどりません。母は私に「気温が高いからじゃないの。涼しい午前中か、夕方にでもやったら」とアドバイスをくれました。私は助言のとおりに夕食の後にやることにしました。しかしこれもうまくいきませんでした。とにかく眠くなって、集中力が続かないのです。

 

 私はここで考えました。イールやスノウ博士が「コレラの感染ルートは空気ではなく水なのでは?」と考えたように「勉強に集中できないのは暑さのせいではなく食後だからではないか?」と考えました。食べたら眠くなります。でも、食べなければ死んでしまいます。だから腹八分で食べるようにして、食後の眠気を最小限におさえるようにして、「お腹いっぱい」の状態で机に向かわないようにしたのです。

 

 結果は成功でした。朝ごはんを軽いものにして(私の家は夕食がいちばんすごいので、夕食をお腹いっぱい食べるのはもったいなかったからです)、午前中のうちに宿題をすませて、午後はとてもたくさん遊ぶことができました。これが私の仮説を立てて問題を解決した経験です。『ブロード街の12日間』を読んでこれを思い出したので、今度人に「いい勉強方法ない?」と訊かれたら教えてあげたいと思いました。

(95行,原稿用紙4枚と15行) 

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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