※引用はすべて坪田信貴『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版]』角川文庫による
目次
あらすじ
これは「ゼッタイ無理」に挑んだある女の子の物語。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格しました。
著者曰く<ダメな人間なんていないんです。ただ、ダメな指導者がいるだけなんです。>
名言・心を惹かれた表現
ダメな人間なんていないんです。
ただ、ダメな指導者がいるだけなんです。
(19頁)
著者・坪田信貴の考え方が表れた文章。
「だって、この子、きっと超デブだったから、こんな名前つけられたんだよ。”せいとく たこ”なんて」
(32頁)
聖徳太子に対するビリギャルのコメント。勉強を始めたてのころ。勉強はできないけれど想像力や感情が豊かなことがわかる。
【読書感想文】原稿用紙4枚(1600字,80行)
著者・坪田信貴はビリギャル・さやかの成功の理由を「中途半端なプライドを捨てて、恥をかくのを恐れなかった」ことにあると分析しています。
そのような態度が成功を導くかどうかは別にして、私はこういう姿勢の人が大好きです。
正確に言うと「中途半端なプライドを持たず、また中途半端な恥を感じない」人が好きです。
ビリギャルは「聖徳太子」を「せいとくたこ」と読み「へいあんきょう、って何した人?」と質問します。
そこに表れているのは「変な質問をしてかっこわるい姿をさらしたくない」という「中途半端なプライド」よりも「知らないことを知らないままに放置している私でいたくない」という「立派なプライド」を優先しているという彼女の生き方です。
わからないことを「わかりません」と言い、できるだけ真摯に生きようとする彼女の存在の仕方は私の胸を打ちました。
ビリギャル・さやかは慶應大学に合格したとき、先生に「みんなに私の成績表を見せてもいいからね」と言います。「こんなバカでも、がんばればできるんだって、みんなもっと知ったほうが良いと思うんだ」。
先生が「恥ずかしくないの?」と訊ねると彼女はこんなふうに返しました。
<「だって、本当のことじゃん。私が何も知らなかったのは本当じゃん。恥ずかしくないかって言われたら恥ずかしいけど、でもそれがみんなの勇気になるなら、そっちのほうがいいや」>
「自分が他人にどう思われるか」と「他人に勇気を与えること」を天秤にかけて、誰かの利益になることをためらいなく選択する。まるで物語の主人公みたいだな、と私は思いました。それはまるでスーパーマンのような。
どうして彼女はそのように振舞うことができたでしょうか。私はそれを巻末につけられた「さやかちゃんの手紙」を読んで理解することができました。
<パパ、ああちゃん。この場を借りて伝えたいです。本当にありがとうございました。ふたりは私のスーパーマンです。>(ああちゃんとはビリギャルの母親)
私がこの文章を読んで感じたことは「親は子どもの前で手本となる存在であるべきだ」とか「親のおかげで子どもがあるのだ」ということではありません。
「何かにリスペクトを抱く人は強い」です。ビリギャルの場合はたまたまそれが両親だっただけで、別にそこらへんで道端のゴミを拾っていたおじさんとかでも良かったと私は思います。
このように、スーパーマンは「スーパーマン」を尊敬していなければなることはできない。私が『ビリギャル』から感じたのはこれです。「中途半端なプライドを持たない」ゆえにできる行動です。スーパーマンを「変身解いたらただのオッサンじゃん」と思ってしまう人にはできません。ある意味盲目的に、まるで神に祈るように尊敬の気持ちを抱ける人こそが「スーパーマン」になれるのだと私は思います。
(67行,原稿用紙3枚と7行)
おわりに
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