目次
あらすじ
誘拐され、監禁されたアレックス。
意識を取り戻した彼女は自身が身動きできないほど狭い檻の中に閉じ込められていることに気がつく。
彼女は死を目前に脱出を試みる。
感想
誘拐事件で始まった物語は、転回に次ぐ転回で、最後の展開に驚く。
本書はいわゆる「再読本」というやつ。トリックも犯人も犯行の動機もわかっているのに、もう一度はじめから読みたくなる。
いやむしろ、それらが「わかっているからこそ」もう一度読みたくなる本である。
『その女アレックス』を二度目に読むときは、それまでひとつの意味しか持たなかった行動や発言が、違う意味をまとって出現する。
(あぁそうだったのか!)と腑に落ちる。
登場人物の意味を知る。
話は変わるが、三度目の読書に堪えられる、というのが良い小説の一条件だと私は思う。
『その女アレックス』は、ピリオドまで読みきった後にもう一度読むことができる小説である。たぶん読んだ方なら、私の言わんとするところがおわかりいただけると思う。
しかし、三回目の読書はどうだろうか、と私は思っていた。
アレックスの誘拐事件について読み、次にその背景を踏まえながら読む……では、三度目はどう読むのか?
その答えは『その女アレックス』の著者であるピエール・ルメートルによって提示された。本書の前日譚『悲しみのイレーヌ』が翻訳・日本で発売された。
そう。
三回目は「『悲しみのイレーヌ』を読んでから読む」。これで決まり。
『その女アレックス』は、作品を通しての話のつながり・ストーリーがリンクしていく過程の鮮やかさにハッとさせられた。
そして『悲しみのイレーヌ』から『その女アレックス』へ読書を繋げることは、作品同士のつながりの見事さに舌を巻く(巻き舌ができない方は口笛を吹くでしょう)ことになると思う。
その他感想。
警部の名前がカミーユ。「女みたいな名前しやがって」だと思いました。
海外の小説なのでカタカナの固有名詞が多め。(覚えられるかな……)と不安に思う方がおられるかもしれませんが、きっと大丈夫でしょう。
『その女アレックス』はとても面白いので。面白い小説を読んでいるときは、知らず知らずのうちに記憶力が上がっています。集中しているからだと私は思います。
と、いうわけで(頭がこんがらがりそう)と本書を敬遠するのはもったいない。
おわりに
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