東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』―才能なんて不要と叫んでみたい

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※引用はすべて光文社文庫による

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『カッコウの卵は誰のもの』あらすじ

 往年のトップスキーヤー緋田宏昌は、妻の死を機に驚くべきことを知る。
 一人娘の風美は彼の実の娘ではなかったのだ。
 苦悩しつつも愛情を注いだ娘は、彼をも凌ぐスキーヤーに成長した。
 そんな二人の前に才能と遺伝子の関係を研究する科学者が現れる。
 彼への協力を拒みつつ、娘の出生の秘密を探ろうとする緋田。
 そんな中、風美の大会出場を妨害する脅迫者が現れる――。
 (裏表紙)

 妻が自殺したあと、彼女の鏡台から、新聞記事が出てくる。

 「新生児行方不明事件」の記事だった。

 緋田は妻が娘・風美を産んだという病院へ行き驚く。

 妻の出産した記録はどこにも残っていなかったのだ。

 風美の所属する会社のスキー部に脅迫状が届く。

 『新世開発スキー部に告ぐ。

 緋田風美をメンバーから外せ。

 ワールドカップ及び、すべての試合の出場を辞退させよ。

 この要求を受け入れない場合、緋田風美の身に何らかの危害が及ぶことになるだろう。

 良識あるファンより』
 (56頁)

 そして柚木は風美の身辺警護として専任の広報担当になる。
 「風美のことで話がしたい」と緋田のところへ電話をかけてきた上条。

 ちりばめられた伏線は、最後に怒涛のように回収される。

『カッコウの卵は誰のもの』タイトルの意味

 「才能の遺伝ってのはさ、いわばカッコウの卵みたいなもんだと思う。

 本人の知らないうちに、こっそりと潜まされているわけだ。

 伸吾が人より体力があるのは、俺があいつの血にそういうカッコウの卵を置いたからなんだよ。

 それを本人がありがたがるかどうかはわからない」
 (366頁)

 「俺」とは伸吾の父親である克哉のことだ。
 克哉は柚木に次のように頼む。

 「伸吾の好きなようにやらせてやってくれ。この通りだ」
 (367頁)

 伸吾はスキーの才能があるばかりに、好きなギターを弾くことを諦めていた。
 克哉は新世開発スキー部の柚木に、伸吾から手を引くことを頼んだのだった。

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『カッコウの卵は誰のもの』感想

 「柚木が主人公」だと見なして読むのも面白いと思った。
 柚木は緋田風美の専任広報だが、彼女の出生の秘密を知っている。
 しかも前述したとおり、克哉と伸吾の関係にも深く関わる。

KKc
 二度読むことができるのならば、彼に注目してみるのもオススメ。

 また『カッコウの卵は誰のもの』は全編を通して「才能と意思」が大きなテーマとなっている。
 自分ではわからない才能を、誰かに伸ばしてもらうのが幸せなのか。
 あるいは夢中になれることに打ち込むが幸せなのか。
 才能だけで人生を決めていいのか。
 「カッコウの卵」はいったい誰のものなのか――。

 それを考えながら読書を楽しむことができた。

東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』名言

 今夜はピーター・フランプトンでキメてみるか。
 (133頁)

 「クロスカントリースキーは死ぬほど嫌いだった」
 (382頁)

 カッコウの雛に罪はない。
 (392頁)

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「モチよ。」は太宰治『人間失格』。
「オンユアーマークゲットセッ」は岡本かの子『快走』。

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