『かもめのジョナサン』あらすじと感想、名言|<限界突破>なんだ!

※引用はすべてリチャードバック『かもめのジョナサン』新潮文庫による

あらすじ

『かもめのジョナサン』はリチャード・バック著、五木寛之訳、ラッセル・マンソン写真の小説。全四部。

 

第一部

 主人公はカモメ、ジョナサン・リヴィングストン。
 ふつうカモメは餌のためにしか飛ばない。しかし彼は飛ぶこと自体がすばらしいと思っていた。
 どこまで低速で飛べるか試してみたり、どれほど低く海面に近くを飛べるかを練習した。ジョナサンは食べるのも忘れて飛行の探究に打ち込んだせいで「骨と羽根だけ」の状態になった。彼は母親の注意も聞かず、今度は高速で飛ぶことを試し始めた。
 ジョナサンは変わり者扱いされ、「評議集会」に呼び出される。
 彼の考えは理解されず、群れから追放されてしまう。
 そして、独りになってもされても速く飛ぶための訓練を止めないジョナサンの前に、2羽の光り輝くカモメが現れる。

 

第二部

 新しい世界でジョナサンは、高度な飛行術や瞬間移動、テレパシーを身につける。
 そして元の世界に帰り、そこで飛ぶことを若いカモメに教えることにした。

 

第三部以降

 ジョナサンにたくさんの弟子ができた。
 彼は弟子とともに群れに戻り、カモメの生涯は飛ぶことにあるという思想を広めようとする。
 悪魔と恐れられながらもジョナサンは、粘り強く話をしていった。

 

『かもめのジョナサン』完成版とは?

 『かもめのジョナサン』は発表当時、全3部構成でした。
 ところが発売から44年後、リチャードは突然「第4部」を発表します。
 訳は前回と同じ五木寛之で『かもめのジョナサン完成版』として新たにまた出版されることとになりました。

 

名言

KKc
私が読んで(これは!)と思ったものを挙げてみました。

 

そんな馬鹿な! <限界突破>なんだぞ! 連中にはわからないのか!
(37頁)

 

生活の中で最も重要なことは、自分が一番やってみたいことを追求し、その完成の域に達することだ。そしてそれは空を飛ぶことだった。
(60頁)

 

「そうだ、本当だ! おれは完全なカモメ、無限の可能性をもったカモメとしてここに在る!」
(76頁)

 

「ぼくが飛べるとおっしゃるんですね?」
「きみは自由だと言っている」
(112頁)

 

感想

 

 『かもめのジョナサン』は世界中でベストセラーになりました。それだけ読まれているということは、きっと人々の心のどこかに響く何かがあったのでしょうと思います。
 この小説はジョナサンとその弟子たちが「飛ぶこと」を突き詰めていく物語です。
 瞬間移動や復活の奇跡など、いちおうちょっと不思議なことが起こりますが、基本は何も起こらない話です。

 

 

KKc
それでどうして面白いのか。
 それは読んだ各自がそれぞれに読み取れるものが違うからだと私は思います。
 小説家の森博嗣は「一種のアクロバットのような離れ業」で「切れ味は凄まじい」と語っています(『森博嗣のミステリィ工作室』127頁,講談社文庫)。

 

 私は

  • 工夫し改良していくことの楽しさ
  • 誰にも助けを借りなくても努力はできるということ
  • 質問をどんどんすることはいいことだ
  • 他人のよい点を見つけることは大切

 

ということを『かもめのジョナサン』から受取りました。
 この「読む人によって違う小説となる」ことが広く読まれていつ理由なのかなと思いました。

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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