有川浩『レインツリーの国』感想|花言葉と恋愛小説

※引用はすべて新潮文庫による

あらすじ

 きっかけは「忘れられない本」。
 そこから始まったメールの交換。
 共通の興味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。
 まして、ネット内時間は流れが速い。
 僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。
 だが、彼女はどうしても会えないと言う。
 かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった――。
 (裏表紙)

 

 

KKc
※以下、ネタバレあります。

 

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感想

 

 「レインツリーの国」とはヒロイン・ひとみの運営するサイトのタイトルである。

 

 レインツリーはアメリカネムノキの別名で、ひとみ的にはレインツリー=ネムノキ。
 そして、ネムノキの花言葉は「歓喜」、「胸のときめき」。
 「歓喜の国」、そして「心ときめく国」。
 (219頁)

 

 「レインツリーの国」は主人公・伸とひとみが出会うきっかけになったウェブサイトだ。
 そのサイトの名前を「歓喜の国」「心ときめく国」としたことをひとみは「まるで伸さんと出会うためのような名前を知らずにつけてたみたい」と振り返る。

 

 ひとみのサイトが「レインツリーの国」という名前だということは冒頭からすでに示されている。

 

 タイトルは『レインツリーの国』。
 プロフィールの名前は『ひとみ』で、公開してあるプロフィールは『都内在住、2X歳、女性』だけだ。
 (17頁)

 

KKc
 (あ、これが小説のタイトルの由来か)

 

 けれど(上に書いたとおり)最後のシーンで「まるで二人が出会うために用意された舞台」とひとみの独白を読んで、もういちど納得した。

 

名言

 

 直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな。
 (53頁)

 

 「……すごい。実物も青春菌満載ですね」
 (61頁)

 

 「……重量オーバーだったんですね」
 (78頁)

 

 待ち合わせ場所にリックドムみたいのが来ても「友達からお願いします」って言えるくらい好きやった
 (91頁)