【800字書評】辻村深月『光待つ場所へ』|オープンエンドの物語

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オープンエンドの物語

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辻村深月『光待つ場所へ』の800字書評です。

 5つの短編集。
 ただの短編集ではなく、スピンオフ短編集。
 『冷たい校舎の時は止まる』『ロードムービー』『名前探しの放課後』『ぼくのメジャースプーン』『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』の登場人物たちの「その後」を描いた短編ばかり。

 というわけで、できれば以上の辻村深月小説を読んだ後に読みたい作品。
 『光待つ場所へ』は他の辻村深月作品とのリンクが鏤められている(「鏤め」なんて難しい漢字を今知りました。パソコンって偉大)。

 朝井リョウは「辻村作品は読むたびにその地平が広がっていく」と評している。
 このように、ある作品とある作品が何らかの事柄で繋がっているということは、辻村深月に限らず、ある著者の小説を愛読している人にとって喜ばしいことである。小説じゃないけど、ガンダムにおけるアムロ、シャア、ブライトなんかはその典型だ。

 読者(視聴者)にとっては、完結したと思っていたキャラクターの人生が、再度息を吹き返してまた巡り出すのだから、嬉しくないわけがない。
 そしてそれは(フィクションの世界にだが)紛れもなくその「人間」たちが生きていることの証明に他ならない。彼らは悩み、葛藤し、恋し、成長し、出会いや別れを経験する。

 辻村深月の小説を読むと、彼らのありありとした生命の輝きを感じることができる。きっと、みんなそれを味わいたくて読んでいるのだと思う。

 日々はつながり、世界は広がっていく。
 辻村深月が本を出すたびに、今度はどんな人が、今までに繋がっていくのかなと、そして、これからに繋がっていくのかを感じずにはいられません。

 ひとつずつ完結した構成でありながらのオープン・エンド。
 辻村深月の天才性は、まさにこの完結性と解放性を同時に備えたところにあると私は思います。

(749字)

作品情報

著者:辻村深月

おわりに/h2>

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