「縛りプレー」のススメ|小林秀雄・岡潔『人間の建設』

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小林秀雄・岡潔『人間の建設』を読む。

 解説を書いたのは脳科学者の茂木健一郎。本文を引用しながら論じていく基本的な解説文である。末尾に付けられたそれを私は順序どおり最後に読んだ。この本のメインは小林と岡の対話にあると思い、読後の余韻のままに読み流していたのだが、ひっかかった。

 対談中に岡が脳の前頭葉について指摘した箇所を、茂木が引用していたのだ。
「自分の専門だからここを取りあげたんだな」と思い、また「他にもっと重要な発言があるだろう」と不満を感じた。

 だがそれは短見だった。なぜなら茂木は脳科学者だから。つまり「脳科学者としての」解説文を依頼されて書いているから、脳に関連する言葉に反応して文章を綴らなければならない。

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 「求められている立場」を意識しつつ書くことはけっこう楽である。実際に書いてみるとおわかりになると思うが、文章はある程度「縛り」があったほうが書きやすい。ツイッターは各つぶやきが140字に制限されているが、そのおかげで洗練されたものを書くことができる。

 したいことをやりたいだけ無制限にするのではなく、ある条件を自分に課して遊ぶと、新しい楽しみや新しい魅力の発見につながる。

 縛ることは違う世界を発見するための方法である。新しさを求めて違うことをするのではなくて、今まで自分がいた場所の、自分が掘り当てていないものを発掘するために未開拓地に眼を向けてみること。欲望を外側に向けるのではなく、内側に隅々に向けること。

 なんか出発点から大きくそれてしまったけれども、これで良いと思う。岡も小林もこう言っている。

 小林 私はこの頃、仕事をしていて、これはどうなるかな、やっているうちにとんでもない失敗をするかもしれないなと、いつでも思うのですが、岡さんはどうですか。
 岡 ええ。どうなるか全くわからない
 小林 わからんでしょうな。わかれば書きませんね。
 (新潮文庫,83-84頁)

 どこに転ぶかわからない。書いているうちにどんどん「思ってもいないこと」が頭に浮かんでくる。書くことの面白さというのはこういうところにあると私は思う。

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まだ買ってません。

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