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中田永一『百瀬、こっちを向いて。』あらすじ
『百瀬、こっちを向いて。』の主人公は男子高校生。
彼は自分のことを「人間レベル2」と呼ぶ。
そんな自身は目立たない存在であり、当然恋愛なんてできるはずがないと思っていた。
野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、彼女になるまでは。
しかしその裏には、彼にとって残酷すぎる仕掛けがあった――。
「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった……!」
『なみうちぎわ』の主人公は、植物状態から目覚めた少女。
空白の五年間と、眠りにつくまでの経緯が回想形式で語られる。
少しずつ明らかになる真実。
『キャベツ畑に彼の声』も主人公は少女。
素敵な国語教師が、同時に小説作家でもあることを知る。
そのとき彼女はどうするのか――。
「キャベツ畑」がどうストーリーに関わるかも見どころ。
『小梅が通る』の主人公はかなりの美人だ。
「ブスメイク」でふだんの生活を過ごす彼女は、素顔とブスメイクのそれぞれに対する他人の反応の違いに敏感である。
不器用な恋愛をどこかコメディを感じさせる文章で描く。読後にほろりとくるはずだ。
中田永一『百瀬、こっちを向いて。』感想
本書は恋愛短編集だ。
表題作を含め4つの短編がある。『百瀬、こっちを向いて。』『なみうちぎわ』『キャベツ畑に彼の声』『小梅が通る』が収録されている。
やさしい文章で、物語の甘さと苦さ、幸せと罪悪感のようなものが丁寧に表現されていた。
恋愛ものといっても甘すぎることはなく、洗練された甘さ、という印象を受けた。
恋愛は甘いだけのものではないんだぜ、ということが行間から読み取れた。
それでも、登場人物たちはその時々に最もよいと思われる選択をした。
それが本当によかったのかと複雑な気持ちになるけれど、そんな気持ちになる小説を読んだことはいい読書経験になったと思う。
『百瀬、こっちを向いて。』が意外に短くて驚いた。
映画化したと耳にしていたので、けっこう長いと思っていたのだ。
私は映画をまだ観ていないが、この原作小説とはラストがぜんぜん違うと聞いたので、ぜひ映像作品も観たいと思う。
『小梅が通る』は美人がそれを隠すように繕って日常を過ごす物語。
きれいになりたい、とは誰でも一度は抱く願いだろうが、この短編では美人の苦労を描く。
見た目だけがすべてではないといわれているような気がした。
とてもすがすがしい読後感で、これがいちばん良かったと私は思う。
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中田永一『百瀬、こっちを向いて。』名言
あんなやつ、知らなきゃよかった。
ずっと他人だったならよかったのに
俺にはもとの生活なんてないんだよ。
あの時、全部ぶっこわれたんだ。
俺は、なんだかまだあの入り江にいるような気がする
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恋愛ポエムを詠んだり。
恋愛は炭酸水のようだ。ほろ苦い。
— KKc (@KiKuchatnoir) 2014, 9月 4